Flathority スタッフ独自の視点から
鞄や革に関する話題を企画、公開していきます。

是非、ご覧下さい。

VOL.01[鞄制作の基本工程と鞄職人]
VOL.02[裁断工程と裁断職人]
VOL.03[桐トランクとサンプル職人]

 
 
--Project vol01-

「Flathority 職人・上野 実」
第一弾には、まず『鞄』をより知ってもらう為、製作の基本行程を学びながら職人話も織りまぜた企画。

今回の紹介する職人は、Flathority 専属工房 上野さん(57)Flathorityの職人の中で年齢的には中堅といったところ。

車で東京の渋滞を抜け、気付けば周り一面に広がる田んぼ道をさらに2時間くらい走ると、栃木県真岡市の上野さんの工房に到着。
連絡を入れるとすぐに迎えに、そのまま工房に案内してもらった。
中に入ると、決して大きいとは言えないが、革、芯材、糸、そして作業途中の鞄が綺麗に分けて置かれている。昨日作業後にきれいに片付け工房を後にする姿が想像できた。

上野さんは昭和38年に中学卒業と同時に鞄業界に飛び込み、14年間東京葛飾で修行を積んだ。
夏も冬も冷暖房器具など一切ない工房に住み込みでの修行は15歳にとっては楽ではなかった。

 

当時の業界全体の環境はお世辞にも恵まれていたとは言えない中で、鞄作りの奥深さに日に日に没頭していったという。

鞄作りを自分のペースで追求したいという思いから昭和52年に真岡市の工房に移った。
「常に自然の時間と自分の波調、鞄作りは一体なんだ」
窓から見える一面緑の景色が、その持論に説得力を増した。

「それじゃ、革の裁断から説明するよ」
もう少し、職人話しを聞かせてもらいたかったが、それを合図に鞄行程の話題に移った。

「鞄作りの基本行程とこだわり」
-裁断-
まず、革を一枚広げ、ムラが無いかをチェックします。
そこからパターンの大きなもの(胴→マチ→底)から順に荒断ちし、革を小さく分けて本断ちしていきます。
「最初の裁断は、数ミリ単位のズレが最終的には鞄全体のズレになってしまうから気が抜けないんだよ。だから包丁はいつも磨いて切れるようにしておく事が基本」

最後はアタリを細かくチェックし裁断作業の終了です。
-革漉き(かわすき)-
次に革漉きです。(革には厚みがあるので、ヘリかえしたり重なったりする部分の厚みを取る作業)
革漉き機に革を器用に通していきます。

「この作業には熟練した経験が必要になるんだ。厚さや幅は結局、自分の感覚だから」

革漉きの出来栄えで商品に大きな差が出てしまうほど重要なポイントになります。

-ヘリ返し-
革漉きを終えたら、革の端を折って側面を綺麗に見せる"ヘリかえし"という作業に移ります。
ヘラでゴムのりを両面にぬり、程よく乾いたら職人の感覚で素早く返していきます。

「職人になったばかりの頃は、これが綺麗に返せなくてよく師匠に殴られたな」

-コバ処理-
へり返しとは別に、革の切り口を綺麗に処理する事を「みがき」と言います。

初めに、革のへりをカンナがけして、角を落とします。綺麗にカンナがけするには熟練の技が必要です。

次にヤスリで全体を均一にならしたら、革の中まで染み込むように丁寧に染料を入れていきます。仕上げにふのりを布で丁寧にこすりつけるようにし、革の目が「ツルっ」となれば出来上がりです。

「磨きを覚えるのには苦労したよ。丁寧にヤスリをかける事がポイントだね」

-ミシン-
一目一目ステッチをきかせます。
足と手をリズミカルに動かして、心地いい音の中で綺麗なステッチが出来上がっていきます。

「やっぱり結局、この作業が一番出来栄えを左右するよね。だから本当に神経を使うよ」
-最終チェック-
最終行程は製品の上がりを自分の目で検品します。
細かい箇所にも十分気をつけ最終チェックです。

「自分の作品を一つ一つチェックしていくこの行程は一番好きな作業だよ。職人として常にこれで市場に出せるかどうかがポイントに判断して見ている」
職人のキビシい顔から戻ると、特徴のある言い方で
「まー、こんなところかな」

鞄に向かう時と、そうでない時のギャップがとても印象的で人柄がうかがえた。

良い商品の陰には、スポットさえあたらないが、こうしたこだわり抜いた工程を経ている事を再確認させられた。

今回紹介したのは、代表的な工程で商品によってはもちろんこの他たくさんのこだわりや工程があります。

上野 実 
職人歴42年
中学卒業してすぐに鞄業界へ
昭和45年東京都経済局長賞
昭和50年東京都知事賞
などの賞を受賞

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