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【ON・OFFあらゆる場面にマッチする】新作レザートートバッグをご紹介します【素材と作り編】

本記事は後編になります。前編のブログでは新作トートバッグを製作した背景と機能についてご紹介しました。シンプルで普遍的なアイテムを長く使ってほしいという想いを綴っています。

前回のブログをまだご覧になっていない方は先にこちらをご覧ください。

今回は後編として「素材」と「作り」にフォーカスしてご紹介します。前編のブログと一緒に見れば新作トートバッグの全貌がお分かりいただけますよ!

 


【素材】表革にイタリア産シュリンク、内装に国産ピッグスエードを使用

それでは、使用している素材を見ていきましょう。

メインレザー

表革はコーカサスリュック2WAYブリーフでも採用してきましたマストロット社のシュリンクレザーを使用しました。

 

マストロット社は1958年創業の老舗タンナー。イタリア国内において最大規模のタンナーで、その生産量は世界的に見てもトップクラスです。

また、生産量だけでなく環境面においても先進性を発揮しており、外部の認定機関であるLWG(レザーワーキンググループ)から最高ランクのゴールド認定を受けています。このレベルを受けるには自社浄水施設の設置やCO2排出量の厳しい規制をクリアしなければなりません。

そんな巨大な生産力を有しながら環境への対応も最高水準なマストロット社のシュリンクレザーを新作トートバッグへ採用しました。

  • シュリンクレザーの特徴は以下の通り。
    ・比較的傷や水気に強い
    ・柔らかく吸いつくような手触り
    ・エイジングは控えめで、徐々に自然な光沢が出てくる

 

以上の特徴から日常使いに適した牛革です。クロム鞣しの皮革であるため、ちょっとした雨であれば濡れた直後に拭き取っていただくだけで綺麗にお使いいただけます。

一方、クロム系の皮革らしく経年変化は控えめ。変化を早く楽しみたいという方には不向きなレザーです。徐々に光沢は増していくのですが、タンニン鞣し革と比べると緩やかに変化していきます。

逆をいえば、長い時間をかけてエイジングしていくので、新品時の美しさが長続きすると言い換えることができます。

新作トートバッグはキレイ目なデザインに寄せることで、クロム鞣しの「美しさが持続する」という特徴が引き立つよう仕上げました。

 


ライナーレザー

続いて内装革について。

内装にはFlathorityが根を下ろす葛飾区からほど近い、東京都墨田区産のピッグスエードを使用しました。

実は、東京都は豚革の一大生産地。国内生産量の約90%が東京都の墨田区周辺でつくられています。

 

通常のピッグスエードは薄く柔らかいことが魅力なのですが、新作トートバッグには、あえてより厚みと硬さがある個体を選って使用しています。

なぜ、そのようにしたかというと「バッグを背負うときの身体への負担を軽減させたかったから」です。

 

負担を軽減させるには単純にバッグを軽くすればいいんですが、これが意外に難しい。レザーバッグって基本的にどれも重いんですが、外からは見えない芯材がバッグをより重くしています。※芯材は機能的に必要だから入れています。

新作トートバッグではこの難問に挑戦し、バッグの芯材を極力使用ない構造へ仕上げることにしました。芯材が少ないと「軽量」かつ「しなやか」なバッグに仕上がりますからね。

もちろん、芯材を使わないとぐにゃりとひしゃげやすく品がなくなってしまうので、それらのデメリットを回避することが絶対条件です。

 

そして、軽さを実現しながらも品を保つ方法を模索し辿り着いたのが、冒頭にもある「厚みのあるピッグスエード」です。

実際の貼り合わせた様子。表と裏が1:1くらいになっています。

イタリアンシュリンク×厚口ピッグスエードで貼り合せると、しっかりとしたコシを生み出すことができるので、胴面の芯材を省くことができました。最終的に、芯材は強度が求められるハンドル裏のみに使用することになり、大幅な軽量化に成功したんです。

 

仕上がりは写真をご覧ください。

ピッグスエードらしい上品な手触りと見た目でありながら、約700gという軽量でしなやか、かつ自立するという業界的にもあまり見られないトートバッグに仕上がりました。

これ背負う分かるんですが、本当に軽い。これは是非とも実感していただきたいポイントです!

 


【作り】ハンドル根元に施した手縫いにご注目ください

次は「作り」についてご紹介します。

冒頭でもお伝えしましたが新作トートバッグには「手縫い」で仕上げた部分がございます。その最も注目していただきたいポイントが「ハンドルの根元」です。

この部分です

ハンドルの根元は最も負荷が掛かる箇所です。「良い物」をお届けするにあたって、ハンドルが高強度かつ立体的なシルエットを維持できることが条件でした。この条件をクリアするために選んだ手法が「手縫い」です。

手縫いのメリットは1か所がほつれても、そのほつれが拡大していかないこと。また、ミシンでは縫えない複雑な形状を縫うことができることなどが挙げられます。

このメリットを最大限に生かし、ミシンでは縫えない立体的なハンドル根元を手縫いによって胴面へ縫い付けました。最注目ポイントがハンドル根元とは随分と地味かもしれませんが、ぜひチェックしてみてください!

 

ハンドル自体にも工夫を加えました

根元だけでなく、ハンドル自体も長く使いいただく工夫を凝らしました。

マストロット社のシュリンクレザーは柔らかな質感が好印象な反面、負荷の高いハンドルに手を加えずそのまま使用するとなると、強度面に不安が残ります。

そこで、ハンドルの内側に牛肩の床革(吟の付いていない革)を貼り合せ、芯に金剛打ち紐を使用しました。硬さのある牛肩の床革と、警察の腰縄にも採用されている高強度の金剛打ち紐により、堅牢でへたらないハンドルに仕上げています。

 

コバも注目ポイントです

新作トートバッグはコバ(断面)にも注力しました。貼り合せたパーツのコバは、先ほどの写真のように、はじめは地層のような状態です。

表の層と裏の層に分かれています。

 

この層が一体に見えるまで何度も磨きの工程を繰り返していきます。

コバに熱を当てて慣らす工程の様子

以上の工程によって作られたコバがこちら。

クロム鞣し系の皮革はコバを美しく仕上げるのが難しいのですが、徹底的に時間をかけることで光を反射するまでの状態になっています。

 


工房発の新作トートバッグ発売中です

前後編のブログを通して新作トートバッグをご紹介しました。

この新作バッグは「良い物を長く使ってほしい」という思いを形にしたトートバッグです。日本の工房としてバッグを作り続けてきた(株)猪瀬のノウハウを込めて製作しました。

試行錯誤を繰り返した結果、どんな場面でも使用できて、背負った時の負担も少ないバッグをリリースすることができました。

 

コバの美しさやハンドル根元の手縫いは量産品を超えたクオリティとなっています。

カラーは全3色。それぞれ使いやすいカラーリングなので、人気が分かれそうですね。笑

ぜひ、気に入ったカラーを教えてください!

 


Coimbra Tote (CF-102) ¥46,200(税込)

 

詳細は商品ページをご覧ください。

 


余談

開催中のノベルティプレゼントキャンペーンでお渡ししているペンケースにはアドリアという革が使われています。

この革は、新作トートバッグの表革のシュリンクレザーと同じタンナー(マストロット社)が鞣したものです。※同じ革ではありません。

キャンペーンはノベルティの在庫無くなり次第終了ですが、在庫数もだいぶ減ってきました。ぜひ今のうちに同じタンナーのレザーアイテムを一緒に手に入れてみてください。
※ノベルティは購入額16,500円以上のお買い物に同梱しております。

 

それでは、また~

 

2021.03.01 | 革
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