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コードバンで色々実験してみた~その2~【切り傷・擦り傷・引っかき傷を付けてみた】

Flathorityの中でトップの人気を獲得しているレザーがコードバン。革のダイヤモンドと言われる美しさが特徴的で、多くの方から支持を頂いています。

愛用者も多いため、頻繁にお手入れについてご質問をいただくことも多いのがコードバンです。

ご質問への回答として、以前には「コードバンで色々実験してみた~その1~」と題して、コードバンを水に濡らす実験を行ってみました。また、濡らした後はメンテナンスによってどこまで回復するのかまで実証しています。気になる方は過去記事をご覧ください。
>コードバンで色々実験してみた~その1~【水ぶくれ・クリーム塗布・防水スプレー】

 

今回は第2弾として、コードバンに様々な種類の傷を付けてみました。加えて、クリームメンテナンスのみで傷がどれほど目立たなくなるのか検証しています。

コードバンに傷を付けてしまった方へ参考になれば幸いです。

 

それでは、いきましょう!

 


コードバンとは

コードバンとは、農耕馬の臀部にある皮から削り出された高密度な層を鞣して作られる革を指します。

コードバンは繊維の密度が極めて高いため、伸びにくく型崩れしにくいのが特徴です。きめ細やかで滑らかな質感は大変美しく、革のダイヤモンドと呼ばれるだけの説得力があります。

Flathorityが取り扱うホーウィン社製シェルコードバン、オリジナル水染めオイルコードバンはどちらも自然の風合いを活かした仕上げ。これにより、表面には色ムラ、シミ、小傷、毛穴、ザラつき、曇り等がございます。

その分、革本来の表情を潰していないためエイジングは大変美しい。革を楽しむことに特化したレザーといえますね。

オリジナルコードバン 左:新品 右:半年使用

 


様々な傷を付けてみた【切り傷・擦り傷・引っかき傷】

ハリが強く美しいコードバンですが、一方で傷が付きやすいレザーでもあります。

8ヶ月お手入れなしで使用したシェルコードバン#ネイビー

 

 

滑らかな肌理である故に小傷であってもクッキリ目立ってしまう。大きな傷だと更に目立つこと間違いなしです。

 

今回は実際に起こりうる3つの傷を再現してみました。

  • 再現した傷は以下の通りです。
    切り傷【カッターやガラスなど鋭利なもので付く傷】
    擦り傷【アスファルトや塀に擦れて付く傷】
    引っかき傷【爪で引っかいて付く傷】

 

切り傷【カッターやガラスなど鋭利なもので付く傷】

以降、上:シェルコードバン#バーボン 下:オリジナルコードバンキャメル

鋭利なもので付く傷で、革の深い部分まで切れてしまうことがあります。

今回はカッターで切り込みをいれました。

 

擦り傷【アスファルトや塀に擦れて付く傷】

アスファルトなどのざらつきのある素材に擦れることで付きやすい傷です。表面が荒く削れてしまうため、美観を大きく損ねる傷つき方になります。

傷再現はあら目のヤスリで行いました。

 

引っかき傷【爪で引っかいて付く傷】

爪で擦れたりして起こる傷です。日常的に使用するだけでどうしても付いてしまう傷で、避けられない傷といえます。

これまでの傷と異なり、革が切れたり削れたりはしていない軽度な傷と言えるでしょう。

 


お手入れでどこまで目立たなくなる?【切り傷と擦り傷は直しきれない】

さて、傷の状態が確認できたところで、実際にお手入れしてみましょう。

今回は、過去記事でご紹介したコードバンクリームにて通常メンテナンスを行いました。


コードバン専用クリーム (CB-003) ¥1,760(税込)

メンテナンスに関する詳細な記事はこちら

 

方法としては、革にコードバンを塗布した後に乾くまで放置。その後、柔らかい布で磨くだけのシンプルなお手入れです。

それぞれの結果を見ていきましょう。

 

切り傷

お手入れ前

お手入れ後

切れた周囲の白くなった部分は少し落ち着いたでしょうか?

ただ、物理的に切れてしまった状態が直るわけではないため、折り曲げれば切れていることが分かります。

クリームではここまでが限界でしょう。

 

擦り傷

お手入れ前

お手入れ後

パッと見た印象はだいぶ改善されていますね。7割くらいは目立たなくなったのではないでしょうか?

寄ってみると傷が分かりやすい

ただヤスリで削ってしまっているので、傷自体がなくなったわけではありません。クリームメンテナンスだけでは完全に直すのは難しいようです。

これ以上直すには細かいヤスリで削るなど専門的な手入れが必要になってきます。Flathorityのアイテムで傷についてお悩みの方は、修理も受け付けているのでお問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

引っかき傷

お手入れ前

お手入れ後

こちらはほぼ目立たなくなりました。革表面の毛羽立ちが抑えられてキレイな状態に戻っていますね。

 

傷が目立つように光に反射させてみました。引っかいた部分のみ少し窪んでいます。つまり傷跡自体は残っているようです。

しかし、色味については完全に元通り。美観を損ねるほどの状態ではありませんね。

 

結論としては引っかき傷程度であれば直るけれど、擦り傷や切り傷は直せないですね。

 


コラム【靴と財布ではお手入れ方法が異なる?】

コードバンのお手入れを検索すると、靴の傷直しに関する記事がたくさん出てきます。傷が元からなかった程にきれいになる記事が多く見られますが、靴のお手入れをお財布にそのまま適用するのは注意が必要です。

 

靴クリームは色付きのものもあり補色にはもってこいです。一方、色移りしやすいため日常的に触れるお財布やバッグには向いていません。

また、ポリッシュなどの艶出しに使用されるアイテムは革の表面を覆うことが目的となっています。「傷を直すというよりも隠す」ためのアイテムですので、こちらもおすすめできません。

擦り傷などの深い傷を消すために靴クリームを使用する際はご注意ください。

 


傷を付けない心がけが大切

いかがでしたか?

本日はコードバンに様々な傷を付けて、コードバンクリームを用いてお手入れしてみました。

結果、「引っかき傷程度の浅いものであればきれいに消えたけれど、切り傷・擦り傷などの深い傷は完全には直らない」でしたね。

革は自動的に再生するような万能素材ではなく、お手入れすれば完全に直るようなものでもありません。今回の結果からも分かる通り、一度付いた傷が完全に元通りになるのは大変難しいです。

 

日頃から傷を付けないよう心がけるか、いっそのこと傷を楽しむくらいの気持ちでいるのか良いのかもしれません。

今回の実験結果が今後の革製品への付き合い方の参考になれば幸いです。

 

それでは、また~

 


Flathorityのコードバンを用いたアイテム


Shell Cordovan Round Wallet (FS-709) ¥66,000(税込)


waterOil Cordovan Round Wallet (FM-709) ¥46,200(税込)


waterOil Cordovan Long Wallet (FM-701) ¥42,900(税込)


Shell Cordovan BATEI Coin Cases (FS-708) ¥33,000(税込)

2022.01.11 | 革
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